財務分析3.0(実践編)エムスリー株式会社

会計実務

こんにちは!以前の分析で財務分析3.0の考え方の記事を書きました!

この記事では財務分析の実践編を行っていきたいと思います!
具体的には時価総額が2020年11月にTop50の株式について5年前の2015年の時価総額と比較して増加率が上位の会社から分析を行っていきます。

第一回目は時価総額の増加がNo1であるエムスリー株式会社の分析を行ってきます。

なぜ企業価値を向上させる必要があるのか?

財務分析3.0では企業価値の向上にスポットをあてます。つまり、ROEがWACCを上回る状態を維持することが大事であると考えます。視覚化すると以下のような考え方になります。

それでは、なぜ企業価値を向上させる必要があるのでしょうか?
これは企業は誰のもの?というところから考えるとわかりやすいです。
この問いには賛否両論あるものの、会社は

株主=つまりお金を出した人

のものということができます。
当然にお金を出している人が保有者ですので、理論的には従業員も株主に雇われているということができます。
そのため、株主の期待に沿うように経営することが求められ、当然に期待した価値以上のリターンを要求することになります。
この期待を超えるリターンをもたらすことは、会社が大きくなること=企業価値向上していることになります。
従って、企業価値を向上させることが株主の期待に応えることであるため、この概念が求められます。
仮に企業価値の向上できない場合には、経営者の入れ替え等で企業価値向上できる人材が据えられるでしょう。故に従業員も当然に企業価値向上が間接的に求められるため、ノルマ等を課せられているのです。

エムスリーの状況について

企業価値の増加要因

ROEが資本コストを上回っているため、当然に企業価値は向上しています。
大きくROEが資本コストを上回っているため、継続して高い株価となっていると言えます。
財務戦略については、現時点で配当をしているものの、配当性向を高める意図もなく(株主も配当するより、伸びる価値があるならそちらに投資してくれという状況でしょう)、中計の公表やIRでの積極開示は特にない状況です。
成長期の会社は当然に株主コストの気を取られるよりは成長に注力すべきでしょう。

※安定成長モデルという考え
安定成長モデルとは、ROE>資本コストの状況においては、内部留保率を高めれば高めるほどに企業価値は増加することが検証できます。逆にROE<資本コストの場合には内部留保を高めるほど企業価値は既存していくため、理論的には配当を積極的に行うことが考えれらます。

業績の状況

業績は右肩上がりで増加しています。
主にサービス提供国の増加×サービスの増加により売り上げを拡大していく方針であることが分かります。そのため、M&Aを中心にサービス展開の増加を図っている状況であります。
M&Aを進めるとのれんが生じますが、過去において大きな減損なく業務が推進しているため、投資価格の適正性及びPMIの力が当社にあると言えます。ポジショニングも良いですが、このM&Aの実行力も当社の強みであると考えられます。
今後も拡大の方向はM&A等であるため、のれんの減損リスクは継続してあると言えますが、過去の実行力の高さを考慮すると、減損リスクを大きく考慮する必要はないのではないかと考えます。(IFRSなので、減損が生じたときのダメージが大きいですが、大きく毀損することはあまり想定されないでしょうか。
さらに海外を含むベンチャー企業への投資を近年進めています。AIは時代が早すぎてもダメなため、時代を読むのが難しいです。投資が高額でなければ減損リスクは低いと言えるため、IRでの投資額には注意したいところですね。。

株価サマリ

株価は業績の推移と連動して堅実に拡大してきています。コロナ前までの動きは業績の推移を見ながら、少しずつ拡大してきた様子であると言えます。
2020年3月12日にコロナ関連のプレスリリースを行ってからは、コロナ銘柄としての期待が高まり、株価は急騰しています。あらゆる業種が低迷する可能性があるなかで、安定した業績が確保できることが要因であると言えます。加えて、2020年5月の決算業績開示後は、コロナ銘柄である期待に対して確かに業績がついてきていることが確証に変わったことから株価はさらに急騰しています。

このように、直近の株価の急騰はコロナ銘柄であることが大きく要因している状況です。このようにPER(235倍・・)が大きくなっている状況下においては、機関投資家等の動きにより株価が乱高下する可能性があるため、株価の変動及びプレスリリースの状況について注視が必要な銘柄であると考えます。

業績で記載した通り、M&Aを中心とした業績の拡大を行ってきたため、減損リスクがあるものの、過去の業績推移において大きな減損を計上していないことから、M&Aの実行力の信頼性は高いと言えます。
IFRS適用であるため、のれんの償却が実施されていなく、減損を計上した場合の影響は大きいと考えられます。そのため、短期売買の場合には、決算への注視が必要です。
また、最近ではPERが200倍を超えている。コロナ銘柄で市場からポジティブな見解である証拠である。このような場合には、機関投資家が動くと株価は大きく動く傾向にあるため、個人投資家では予測が難しいことが考えられ、今から投資をする場合には少し難易度は高めでしょうか。。

企業価値についての総論

長期的には保有したいが、

コロナ銘柄の期待が高まっているうちは長期保有での参入は少し危険か。。

おすすめ度:B

業績は好調であり、今後の拡大方針も信頼度は高いと言えます。
但し、減損リスク等は常にあるため、短期での売買を予定している場合には決算の注視が必要ですね。
一方、直近ではコロナ銘柄であるが故に高い株価を維持している状況であるため、いつ株価が変動するかの予想が難しい状況にあります。
以上から、長期的には優良な株式であるものの、現在の株価は期待が高まっている状況であるため、個人投資家が手を出すのは少しリスクが高い状況ではあります。コロナが落ち着いた水準に戻れば是非参入したい株式ですね!

おまけ 類似株式

当社の株式の特徴は3つあります。

この3つを満たす株式は正直ないです。。

但し、当サイトではこのうちの、①、②を満たす株式をおすすめします。③は定性要因の影響を大きく受けるため、正直プロではないと難しいと考えられます。

特定の株式の言及は避けますが、例えば①は今伸びている市場であり、

・人材派遣
・IT
・医療業界

この中で、過去の株価の変動があまりない会社が狙い目と考えます。

以上になります。お読みいただきありがとうござました!

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