
こんにちは!
今回は会計士の視点から、副業の代名詞と言えるFXについて考察してみたいと思います。
一般的な比較サイトでは細かい取引条件についてまとめていますが、この記事ではFX・証券会社の監査を通じて得た業界理解を元に、客観的な立場から「良いFX会社」の条件を挙げてみたいと思います。
ちなみに、私はFX取引や仮想通貨取引をやったことはありますが、すぐに手仕舞いしてしまい現在はやっていません。釈迦に説法かもしれませんが、「投資は自己責任」という言葉を念頭にお読みください。
FX会社を選ぶ上での基本的な目線とは
一般的に、FX会社を選ぶ上でポイントとなる点は以下の通りです。
・スプレッド、諸費用:取引にかかる手数料が少なく済む
・取引単位:最低取引単位が小さい方が取引しやすい
・通貨ペア:スワップポイントの高い通貨ペアの取り扱いがあるか
・キャンペーン:キャッシュバックキャンペーンをやっているか
これらはいわゆる取引の前提条件であり、少しでも良い条件で取引するためによく取り上げられている情報です。しかし、単純に比較しても違いがわかりづらい、、、正直そこまで各社で条件は変わりません。もう少し別の視点で考えてみましょう。
FX業界の収益構造を考察する
まずはFX会社がどうやって儲かっているか知りましょう。
FX会社は顧客からの「売」「買」注文に対し、カウンターパーティー(外銀など)に反対売買(カバー取引)をすることにより差額を収益とします。いわば「通貨ペア」を安く仕入れ高く売る、商社のようなイメージでしょうか。
事業系統図(出典:ヒロセ通商 2020年3月期 有価証券報告書 3【事業の内容】)

そうなると、FX会社の収益構造は「収益=取引高×ロット当たり収益率」で表されます。つまり、取引高が増え、うまくカバー取引を流せれば収益が伸びます。
取引高が上がるためには、経済イベントによる相場ボラティリティの向上・広告やキャンペーン、商品ラインナップ強化、セミナー開催による顧客集客および取引の喚起などが挙げられます。
収益率を上げるためには、
- 経済イベントの発生
- 高金利スワップの通貨ペアの取り扱い
- カバー手法のチューンアップ
などが挙げられるでしょうか。
ここで、経済イベントによる相場ボラティリティの向上については、業績に影響を及ぼす1番のファクターなのですが、外部環境のため企業自身でコントロールすることができません。
ちなみに、FX業界の統計資料は「金融先物取引業協会」HPから閲覧できます。
直近では、コロナイベントにより3月のボラティリティが上昇していますね。
また、広告やキャンペーン、商品ラインナップ強化、セミナー開催による顧客集客および取引の喚起、高金利スワップの通貨ペアの取り扱いなども各社そこまで大きな差がありません。ここで注目したいのが、カバー取引の手法、つまりシステム面の強さです。ここがFX会社の強みの「ブラックボックス」であり、金融業たる由縁だと思います。このシステム面については大事な要素なので、後述します。
FX会社を選ぶポイントとは?
では具体的に、どのような観点で会社を選ぶべきでしょうか。
体力(資本)がある会社
金融業はFXも多分に漏れず規模の経済が働く業界であり、取引量が多い=カバーやマリーなど収益効率化できる、古典的な業界です。
また、FXは製品ライフサイクルの観点からすると成熟した市場です。規制の影響を受けやすく、中長期的にはシェア拡大のためのスプレッド競争が激しくなり、大手が中小を吸収するなど業界再編の動きも出てくるかもしれません。そのため、資本力は重要なファクターと考えます。
顧客育成に力を入れている会社
FX会社は顧客を囲い込むために、商品ラインナップの充実やセミナー、カスタマーサポートに力を入れています。いわゆる「顧客とのコミュニケーション」を重要視する姿勢はポイントだと思います。
システムリスクが低い会社
取引をしていく上で一番こわい要因がこれです。いわゆるスリッページの発生確率が低い、などの点は思いつきますが、ボラティリティの乱高下により取引がストップしてしまうと想定外の損失を被るリスクもあります。システムの安定稼働は、取引をする上で当たり前に担保されていなければいけない問題ですが、システム面に強みがあるのかという点は外から見ていると本当にわかりません。そこで、特に直近システム面で何らかの行政処分を受けている会社などは回避するのが賢明と考えています。
以上の観点から、以下のFX会社を取り上げてみました!
いかがでしょうか。上記の思考法はおそらく他のメディアではなかなか取り上げられないと思いますが、本質的な考えだと思います。
最後に蛇足ですが、以前FX会社の中の方に、「ものすごく儲かっているトレーダーの方はどうやって儲けているのですか?」と質問したことがあります。その際の回答として、「皆さんすごく勉強熱心で、一日中ディスプレイに張り付いて細かく取引をしている。いわばそれだけ時間と情熱を注ぎ込んでいる人が中長期的に勝っている」と聞き、はっとしました。何事も近道はなく、執念深く勉強を進めていくプロセスがFXをやる上でも一番大切なんだなぁと感じたからです。
皆さんもFXをやりたい!と思っていれば、小手先のテクニックだけではなく、そもそもどういった経済イベントで為替相場が動くか?などのマクロ経済の勉強も必要なのかもしれません。
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